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コラム

場面に合わせて着物を楽しむ

2024/6/26

洋服と同じく、着物もそれぞれの場面にふさわしい素材や種類・帯の結び方があります。

着物それぞれの種類に適した着用シーンや種類を知っておくと、より着物を深く、広く楽しむことができます。

このコラムでは、使われる頻度の高い着物の種類と、適した着用シーンについて紹介します。どの種類も「エフォートレスキモノ(Effortless Kimono)」へのお仕立てが可能なので、着物の仕立て直しや購入を考えておられる場合も、ぜひ参考にしてください。

 

【着物の種類】

着物も洋服と同じく様々な種類がありますが、着物は素材や種類に応じて「格」と呼ばれるランク付けがされています。
日常的に利用されるものは大きく分けて下記の種類があります。

 

<訪問着(ほうもんぎ)>

「絵羽模様」と呼ばれる、縫い目をまたいで柄があらわされた着物のことを指します。
1枚の着物をカンバスとして描く絵画のような柄づけで、華やぎのあるデザインが特徴です。

親族以外で招かれる結婚式披露宴や各種パーティー、音楽鑑賞、歌舞伎などの観劇、フォーマルなお食事会、お子様の入学式・卒業式の付き添いなど 、きちんとしたシーンに着用されることが多いです。
また、既婚者・独身者どちらでも着用することができます。

 

<付け下げ>

付け下げは、洋服で言えばワイシャツにジャケットのような、幅広い場面で使える種類で、初めての着物としてもおすすめです。

付け下げは、訪問着より落ち着いたデザインのものが多いのが特徴の1つです。

戦時中の贅沢を悪とみなす流れによって豪華な見た目の訪問着の着用が禁止となり、その代わりとして付け下げが作られたと言われています。

訪問着のように華やかすぎないので、お仕事関係の式典など、訪問着では少し華美すぎるかも、という場面にも活躍する、控えめながらも品格と華やかさを持つ着物です。

 

<小紋(こもん)>

浅草や京都でよく見かける貸着物のサービスでよく使われている着物が小紋です。

小紋は、縫い目を超えて柄がつながる訪問着などのフォーマルウェアとは違い、同じ柄が繰り返し染められています。

小紋と言っても柄によって幅広く古典柄をあしらったものや江戸小紋といわれる型染は、帯を格の高いものにすることでセミフォーマルの場面にも使える汎用性の高い着物です。

 

<紬(つむぎ)>

紬は、絹独特の光沢感が美しく、それでいて丈夫なため、普段着として古くから愛されてきました。洋服でいえばジーンズにTシャツ。近所へのお出かけやお友達とのカジュアルな会合など、日常使いに適しています。

大島紬や結城紬、琉球や信州など、特定の地域産地で独自の工程を持ち糸紡ぎ、絣括りなどそれぞれの職人が熟練の技で仕上げられた産地により特色がある織物です。

 

<色無地(いろむじ)>

色無地は、白い生地を黒以外の一色のみで染めた着物のことを指します。柄がついていないため、色無地と呼ばれています。

生地に織り込まれている地紋(じもん:糸や織り方を変えて布地全体に織りだした模様のこと)の有無や数によって、また背中に1つ家紋を入れることや帯の格を変えることによって、結婚式への参列から普段着まで、幅広い場面で着用することができます。その昔、色無地を持って嫁がれる方は多かったです。

 

<浴衣(ゆかた)>

夏祭りや温泉旅館でおなじみの浴衣は、着物とは異なり、半衿・帯揚げ・帯締めを使わないこと、足袋ではなく草履を合わせることなどが一般的な特徴です。

元々は湯上りに着るもので公式な場面では着用できませんが、夏のイベントで活躍する、現代人にとって一番馴染み深い和服です。

 

ここに挙げていないものでは振袖、打ち掛け、黒紋付、黒留袖、色留、袴など、フォーマルのより特別な場面で使われるものがあります。また、既婚か未婚か、冠婚葬祭では主役となる人とどれだけ近しい間柄か、などによってもふさわしい着物の種類が異なります。

 

 

【帯の種類】

帯の種類にも格があり、それぞれにふさわしい着用シーンがあります。

 

<丸帯(まるおび)>

丸帯は、ハレの日に使われる最も格の高い帯です。金色・銀色の糸があしらわれた絢爛豪華な印象を与えるデザインです。結婚式で新婦さんやそのご家族が着用する用途が主で、日常で用いられることはありません。

 

<袋帯(ふくろおび)>

丸帯に次いで格の高い帯です。長さは丸帯と同じであるが表の柄を織ったきじと裏側には無地など別の記事を使って丸帯より軽いのが特徴です。前述した着物の種類の中では訪問着に合わせることができます。また、成人式で着用する振袖には、比較的大きい柄で飾り結びに映える袋帯が主に用いられます。

 

<名古屋帯(なごやおび)>

名古屋帯は、カジュアルなシーンで用いられることが多い帯です。付け下げ・小紋・紬・(種類によっては)色無地に合わせることができます。長さは袋帯より短く背中のお太鼓と言われる部分は1重で作られるので袋帯より比較的簡単に不断に付ける帯として人気で広まった

 

<半幅帯(はんはばおび)>

小袖や紬、浴衣に合わせる最もカジュアルな種類の帯です。フォーマルやセミフォーマルシーンには適しませんが、他の帯と比較して完全に形が違ってお太鼓と言われるものを作らずに結ぶ帯で男性の角帯の様な感じで結びやすいため、気軽に着用でき、アレンジも楽しめます。